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多重債務者が水面下で「ヤミ金」へ大量流入


貸金業界の多重債務者が水面下で「ヤミ金」へ大量流入


「1年前に比べて多重債務者は3割以上も減少しました」

 先月、金融庁は政府の「多重債務者対策本部有識者会議」に、このように報告した。
約171万人と目されていた多重債務者が118万人と、53万人も減ったというのだ。堂下浩・東京情報大学准教授の調査によると、貸金業者大手7社の貸出残高も、確かにこの2年で2兆円近くも減少している。


 金融庁は、上限金利の引き下げや債務者1人当たりへの貸出総額を規制する「総量規制」の導入などを盛り込んだ法改正の成果だと胸を張るが、はたして多重債務者は本当に減ったのか――。


 貸金業界関係者は口を揃えて「単なる数字のまやかしだ」と主張する。
 第1に、金融庁は貸金業者が顧客情報を集約している「全国信用情報センター連合会(全情連)」のデータを基に多重債務者数を割り出している。


 ところが、貸金業法改正で商売が成り立たなくなったため、サービサーに債権を譲渡して廃業したり、全情連を退会してヤミ金化する小規模貸金業者が続出。
全情連の加盟社数そのものが、この1年で約2000社から1500社に減ってしまった。
つまり、全情連データに反映されないかたちで融資を受けている債務者が増えているということだ。


 加えて、大手貸金業者の貸出残高が2兆円も減ったことにも訳がある。
要は、大手貸金業者が融資を絞ったため、「商店主などの零細事業者を中心に、ヤミ金に手を出す人が増えている」(東京・神田の貸金業者)。


 最近のヤミ金は「年利30〜50%の“低利”で、返済相談にもちゃんと乗る」(同)というのだから、多重債務者にとってはありがたい存在。
違法金利ではあるが、取り立てもかつてに比べれば厳しくないため、被害として表面化しにくい。


 多重債務者は決して減ってはいない。彼らを法の枠外に押しやった貸金業法改正の是非が早くも問われている。

(2008/6/9『週刊ダイヤモンド』 津本朋子 )



2ちゃんねるにヤミ金急増! 知られざるネットの貸金市場


「合法的に誰かが金を貸してくれるスレ」「少額(10万円以内)だから貸すよ」……。

 これらはインターネットの掲示板「2ちゃんねる」に立てられた、おカネの貸し借りに関する膨大なスレッドの一部である。


 もともと2000年にクレジットカードの情報交換の場としてできたが、03年頃から多重債務や自己破産の相談、過払い金返還請求など消費者金融関連の内容が増え始め、05年春に「借金生活板」として分離独立した。
その後、スレッドが増殖を続ける一方で、並行して始まったのが、“個人間での金銭貸借”である。


「グレーだが、一応のルールにのっとっている」と言うのは、ネット上での個人間融資を研究している藤原七重・敬愛大学准教授だ。


 そのルールとは、収入や借金の額、借り入れ希望額など数十項目を決められた様式に書き込むこと、また「トリップ」「フシアナ」と呼ばれる個人証明機能の使用が借り入れの要件となっている。
そして書かれた内容を見た“神”と呼ばれる金主などが、アドバイスをしたり、おカネを貸し出すのだ。
その際の貸出金利は、出資法の上限金利(個人間では109.5%)以下が大半である。


 だが、「昨年春頃から異変が起き始めた。急激に金銭貸借が成立しにくくなっている」と藤原准教授は言う。
その理由は「おカネを借りた人が返済しないケースや、暴言などで借り手を攻撃するような書き込みが急激に増えたことではないか」と分析する。


 加えて、「ヤミ金」と見られる書き込みが急増しているという。
先のルールを無視し、いきなり「おカネを貸します」と書き込むケースが増えているのだ。
なかには安易に連絡を取ってしまう資金需要者もいるようで、法外な金利を取られている可能性も高い。


 上限金利引き下げに伴う与信厳格化によって、おカネを借りられなくなった資金需要者が増えている。
このままでは2ちゃんねるに流れ込み、ヤミ金の格好の標的になりかねない。

(2008/6『週刊ダイヤモンド』編集部 藤田章夫)

   

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